- 日々のつれづれ
臼杵出身野上弥生子さんに学びたい
毎日朝ドラ「虎に翼」を見て号泣しているわたしですが。
「明治、大正、昭和期の家父長的な要請に屈することなく、しなやかに自由な生を追い求めながら、妻として、母としても生きぬいてきた女性」として、臼杵市出身の作家、野上弥生子さんが紹介されています。
〜以下は、英文学者・小川公代さんの最新評論『翔ぶ女たち』から抜粋〜
野上弥生子は99歳まで現役作家として活躍し、『真知子』以外にも、『海神丸』『迷路』『秀吉と利休』『森』などを発表しました。いずれの作品にも女性の心理的な葛藤が繊細に描かれています。九州の田舎町で生を受けた少女がいったいどのようにして、両親を説得して上京し、その後、作家の道へと進んだのか、野上弥生子という女性に俄然興味が湧きました。なぜなら、彼女が生きた時代というのは、明治民法によって男子を中心とした家制度が確立し、妻は夫の許可がなければ勤労をはじめとする、さまざまな契約を結ぶことさえできない封建的な時代だったからです。 (中略) 知的探究心のあった弥生子は、15歳で上京することを強く希望し、知人の紹介で明治女学校普通科に進学することができました。その後、同郷の野上豊一郎と結婚し、彼を介して夏目漱石と出会います。その頃、時代は大きく変わり始めていました。弥生子がいくつもの翻訳を掲載することになる文芸誌『青鞜』の版元である青鞜社が誕生したのは、明治時代が終焉を迎え、大正時代がスタートする大正元年(1912年)の前の年でした。 弥生子は、その後、第二次世界大戦をも生き抜きます。このめまぐるしく変化する時代に女性として経験した困難や生きづらさこそが弥生子の作家魂に火をつけたのだと思います。