臼杵市議会議員 大分県人権啓発講師 女性議員の会副代表

日々のつれづれ

全国人権啓発指導者養成研修会(福岡会場)で得た深い学びをメモ


大変 有意義な3日間でした。特に印象に残った講座の感想。

1「参加型体験学習の人権教育・啓発の体験と分析」

人権=Human Rightsは、地球上のすべての人類にとって普遍的な価値であるはず。ですが、実際には日本型とでも呼ばれる形があるといいます。
日本型…….守る(思いやり、優しさ)
●西洋型……使う(技術、ル-ル)

・優しくできるようになろう。・思いやりを持ちましょう。・仲良くしましょう…これらはいわゆる日本型。
本来の人権は、嫌いな人や気に入らない人や恨みがある人であっても、その人がその人であることを認めましょう、と。それは多種多様な人がともに生きていく上での必須のルール。
思いやりや優しさは道徳的な価値観。自分に余裕あるときはした方がいい、というようなニュアンス。英訳でshould。
一方で人権は必ずしなければいけないもの。英訳でmust。そこには、好きとか嫌いとか個人の感覚や感情は入り込む余地はない。

人権を道徳とをごっちゃにして語ると『自分がされてうれしいことを他人にやってあげましょう』というような指導になったりしますが、思いやりや優しさの基準は人によって違うし、あなたにとって心地よいこととわたしにとってのそれは違う、ということ。

今までの日本は[暗黙の了解]のような中で空気をよんでコミュニティを維持させてきたところが大きいのかもしれないけど、コミュニケーションは「仲良くするため」というよりも「尊重し合う」「お互いの意見を聞き合う」「意見や価値観の違いを認め合う」「合意形成する」というようなこと。
人権を身にまとうためには、異なる他者との学び合い=トレ-ニング が必要で、それは『技術』なのだと感じました。

 

2『部落差別のいま、そしてこれから』

虚構としての(意識の中にだけある)差別。必ず無くすことができるものである。
同和問題の解決を山頂の頂きとすると「今、何合目まできているのか?」・・・それが分かりづらい。
部落差別の現実は見えにくくなっている。
部落差別をなくすための過程として、思いやり 優しさ いたわりといった感情へのアプローチはもちろんあっていいのですが、『ミックス』という時代の流れを意識する必要がある。

以前の【部落】と呼ばれた地域は、流入流出を繰り返し、境界が揺らぎ、土地、人ともに定義が困難になっている。
また混住の拡大や通婚の増加など、以前は閉ざされていた生活圏や人間関係などの交流がすすんでいる。
あとは、偏見の克服……「部落差別に対する非科学的な認識や偏見に基づく言動が受け入れられない社会を作ること」が重要である、と思いました。

 

3『スマホ時代の子どもたちに大人ができること』

スマホの問題は使う側の心の問題(親と子の関わりを見直すチャンス)
SNSのトラブルが年々増加。

●コミュニケーション力の不足
●ネットモラルの欠如

子どもや若者にとっては生まれたときから身近にあるもの。ネット=リアルの延長線。
ヒトとしてリアルでどう行動するのか、どんなことばを使うのか、がそのままネットの世界に現れる。
善悪の判断を自分たちで話し合う必要。(子どもの心は子ども同士のふれあいでしか育たない)

2022年には18歳で成人。消費生活、規範意識、ネットの中で詐欺にあう可能性も大。

子どもがハマるものがスマホから無限に手に入る。
マンガ ビデオ ゲ-ム 友だち(以前は有限)+ネット(今は無限)

Qどうしてネットにハマるの? → リアルがつまらないから。
インスタの中には刺激的でキラキラしたものばかり。自分と比べて自己否定。寂しい。現実逃避。

→ネットでの出会い〜犯罪に(児童ポルノ禁止法)
撮らない 撮らせない 渡さない 所持しない。
接触はSNSが9割 犯行動機は接触目的(性交目的)会った理由は寂しかったから。相談にのってくれる優しい人だから。

インターネットには光と陰があります。光の部分を享受しましょう。

ペアレンタルコントロールをする←やらないのはデジタルネグレクトです!
保護者…情報モラル教育を受けていない
子ども…デジタルネイティブ
どんな講座が有効か?→ ピアサポート(子ども同士の考え合い)
大人も、わからない(苦手)で済まさない。保護者自身の学びも大切である。

 

4『あるコピーライターの伝え方』

ことばって…人間の記憶の集合体、ではないかな、と。中に情報を含むただの”記号” 。
器のようなもの。器より中身が大切じゃないですか?と。同じことばからでも受けるイメージは人によって違う。
ことばの先にある、風景、音、匂い、声、色、温度、感触、味覚…….etcそんなとこまで思いを馳せることができると、ことばを通したコミュニケーションが健康的なものになるはず。
多少カッコ悪くても本当のことばを使いたいと思いました。

玉山さんのコピーはまさに 祈りのようなものでした。(虐待防止のコピーを以下に二つ)

●「道でころんだ」と、親をかばう子どもがいます

●忘れられない思い出が、どうかいいものでありますように

本当のことばを出そうとすると、時に苦しかったり恥ずかしかったり悔しかったりするんだけど、それでもそれでも本物のことばで表現することを続けることで、きっと心が鍛えられる、想像力が身につく、優しくなれるという講師の言葉が心に残ります。
ことばの持つ力を信じているひとが集まれば、権力や財力や武力にも立ち向かえるほどの力になる。そんな確信をもらった講座でした。