臼杵市議会議員 大分県人権啓発講師 女性議員の会副代表

女性議員ネットワーク

女性一期生議員ネットワーク 星の会の加嶋さん

2月3日、「星の会」の加嶋文哉さんを講師に、大分市役所で「女性一期生議員の会」の学習会を行いました。
「行政・議会が不登校に取り組む視点」という演題で私たちの要望に沿って話してくれ、不登校を考えるポイント(法的根拠)と、子どものための3つの提案をいただきました。
心に残った話をメモ的に記します。

○学校に合わない子どもは一定数いるのが当たり前。新学期初日の9月1日に子どもの自殺率が際立って高くなる(内閣府・過去40年間の集計による)ことからもわかるように、学校に行かない選択をすることで自分の心をギリギリなところで守っている子どももいる。

○大分県の小中学生の不登校は5年連続で増加している。中でも長期欠席者の割合が増えている。(昨年は1942人)

○新型コロナウィルス感染症の影響もあり、学校の息苦しさが増えているのではないかと推測される。寛容度がない、急ぐ授業、黙食や黙掃、行事のカット、意味のない(子どもに関われず充実感のない)業務が増える教師…etc

○大分県の不登校支援は全国的にみても進んでいる。学校内では、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、保健室、別室登校などの利用。学校外では、教育委員会が作る教育支援センターや民間のフリースクールなど。親の居場所としては「親の会」があちこちの市町村にある。
だがその情報を知らない人が多い。
まずは親にこれらの情報をしっかり届ける必要がある。

○子どもの学びは多様である。試行錯誤しつつ「生きている」ことがすでに学び。
フリースクール(団体)に補助を出す、フリースクール(利用者)に補助を出す、公設民営フリースクール、放課後デイの運用を広げる、といったさまざまなお金の支援がすでにあちこちの自治体で行われている。

○これまでの、子どもを対象とした支援では、どこにも繋がれない子どもが増えていく。公民連携で親を支援することが大切。県内各地にすでにある「親の会」を活用した公民連携の取り組みが求められている。

○「学校復帰」を目指していたのは旧来の話。2016年「教育機会確保法」ができてからは、子どもの意思を尊重し社会的自立を目指すことが求められている(支援を子どもに近づける)。
「教育機会確保法」の基本理念として、「国、地方公共団体、教育の確保等に関する活動を行う民間の団体、その他の関係者の相互の密接な連携……」という風に[公民連携]がうたわれている。

○基本指針(2017年3月31日)
登校という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要がある。
①子どもの意思を十分に尊重する
② 子どもや保護者を追い詰めない
③国、行政、民間団体等の連携で行う

○教育支援センターの設置目的にしても、「学校復帰を支援」してきた旧来の整備指針を廃止、新たな指針は、
不登校児童生徒の集団生活への適応、情緒の安定、基礎学力の補充、基本的生活習慣の改善等のための相談・指導(学習指導含む)を行うことにより、その社会的自立に資することを基本とする、としている。

つまり…
学校でも教育支援センターでもフリースクールでもホームエデュケーション(家庭での学び)でも、いずれも就学の義務は果たされるわけです。
そしてゆっくりと自分が「自分」を受け入れて成長していく。
だけど子どもの自己決定は、周りの大人との共同作業が必須。だから親への支援が必要なのですね。

子どもたちが周りの大人の手を借りながら、自分が納得する幸せの形を見つけ生きていくことを心から願います。
「そのために私たちにできることは何か、継続して考えていこうね」と話し合いました。

 

最後の方で、加嶋先生が紹介してくれた親の詩に思わずみんな涙してしまいました。

あじさいが咲く頃
あなたは生まれた
固く結んだ小さな手に
夢と未来を
たくさん詰め込んで

あなたの誕生を
みんなが喜んだ

小学生の時は
水泳が得意で
運動会では
応援団で
中学生の時は
卓球部に入り
友達と、笑顔で過ごした

しばらくすると
居間のソファーにうずくまった
「学校に行きたくない。
もう、勉強はしたくない」
と言いながら
表情をなくし
ご飯も食べなくなった
何を聞いても
「わからない、わからない」
と繰り返すだけ

やがて
あなたは
部屋から出てこなくなった
無理やりに病院にも連れて行った
診断は「適応障害」。
3種類の薬が出されたけど…
あなたが壊れていくようで
怖かった

どうしていいか
分からなくなった時
「星の会」に出会った
「息子さん…ここまでよく頑張ってきましたね」
と言われた
あなたが頑張ってきた?
はっとした

だって
嫌なことから逃げている、
甘えている
と思っていたから

電話を切った後
あなたの部屋のドアを
静かに開けた
真っ暗な部屋で
うずくまっているあなたに
「よくがんばったね しばらくゆっくりしよう」
と背中をさすった

初めて
あなたが声をあげて泣いた

「星の会」には
同じ立場の人たちがいた
「うちもそうだったよ」
「そんな時は、辛いよね」
自然に涙が出てきた
一人ぼっちでなくなった
心がちょっと軽くなった

「高校は卒業したいから」と
安定剤を握り締め
午後からの投稿を始めた
高校側から
「授業の出席率が…。このままでは進級できない」
と言われた
不安になったのか
険しい顔つきになっていた
深夜に家を出ていった
壁を何度も何度も殴った
「今すぐ酒買ってこい」
と叫ぶあなたに…
心がこおった
父親を避け
担任とも話をしようとしない
ヘッドホンをして
一日中ゲームの生活
昼夜逆転するあなたに
かける言葉が
見つからなかった

通信制高校に転校しても
部屋から
出てこようとしなかった
私にできた事は
ご飯を作ることだけだった
食べたいものを言ってほしかった…。

ギターに興味を持つあなたに
ライブのチラシを集めた
部屋の隅にそっとおいた
「このライブに行ってみようかな」
部屋から漏れてくる
あなたのギターの音に
私の心が軽くなった

通信制高校を卒業する時期
「次は進学?就職?」
と周囲の声、声…
「厳しくしないと引きこもる」
の言葉に
私の心は正直揺れた
「星の会」が支えになった

「ただいま。バイトの面接に行ってきた」
そのぼさぼさ頭の金髪で?
その普段着の格好で?
履歴書は…?
採用にならなかったけど
真剣なあなたがほほえましかった

散髪をして
次の面接を決めたあなた
「履歴書はこれでいいの?」
「服はどれを着ればいいの?」
相談してくれて
ありがとう
私を頼ってくれて
ありがとう

「人と接するのが苦手だから」
あなたが始めたのは
早朝の品出しの仕事
昼夜逆転の生活を変えた
彼女もできた
自分が納得する道を
歩み始めた
あれほど避けていた父親と
ベランダでタバコをふかす息子
たわいのない話をしながら…

困った時は声をかけてね
あなたの人生は
あなた自身のものなのだから